大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和31(あ)1506 判決

主 文

本件上告を棄却する。

理 由

弁護人金子文吉の上告趣意第一点は、単なる事実誤認、審理不尽の主張であり、

同第二点は法令違反の主張をいでず、同第三点は違憲をいうがその実質は量刑不当

の主張に過ぎず、いずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。(刑法四二条第一

項の「罪ヲ犯シ未タ官ニ発覚セサル前」という中には、犯罪事実及び犯人の何人で

あるかは判つているが犯人の所在だけが判つていない場合を含まないことは当裁判

所昭和二三年(れ)第一九二一号同二四年五月一四日第二小法廷判決によつて、ま

た、死刑を定めた現行刑法の規定が憲法三六条に違反しないことは昭和二二年(れ)

第一一九号同二三年三月一二日大法廷判決によつていずれも判例とせられるところ

である。被告人が自首の意思をもつて相模原警察署玄関前に来たときにはすでに本

件犯人がAであることは捜査官憲に判明していたことは原判決挙示の証拠によりこ

れを認めることができその他自首に関する原判決の判断は正当である。被告人が犯

行当時心神喪失者であつたことは原審において主張せられなかつたところであり、

被告人が殺人の犯意をも有したことは被告人の第一審公判における公訴事実はその

通り相違なく申訳なく思つている旨の供述、第一審判決挙示の被告人の検察官に対

する供述調書その他の証拠によりこれを認めることができる。)

被告人本人の上告趣意は単なる事実誤認、審理不尽、法令違反の主張に過ぎず、

刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。

よつて同四一四条、三九六条、一八一条一項但書により裁判官全員一致の意見で

主文のとおり判決する。

検察官 吉河光貞出席

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昭和三一年一〇月二三日

最高裁判所第三小法廷

判官長裁判官 垂 水 克 己

裁判官 島 保

裁判官 小 林 俊 三

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